プレイヤーは、「世界最高の魔術師」でも「ドジな女子中学生」でも、自由にキャラクターを演じることができる。
重要なのは「筋力」や「魔力」ではなく、「どれだけ物語に関われるかどうか」なのだ!
シナリオは複数の「ステージ」で構成され、各ステージでPCたちは2回ずつ行動を行い、
その結果によって物語は希望と絶望の中を揺れながら進んでいく!
慣れれば1時間でセッションを終わらせることも可能な、遊びやすくて楽しい新感覚のRPGだ!!


 我々が住むこの世界には、魔界や地獄などと呼ばれるのがふさわしい、まったく別の世界から侵略の魔の手がひそやかに忍びよっています。 我々の住むこの世界を現世、異次元の別世界を異界と呼びます。
 異界には、魔術や超常能力を使う、異形の怪物が住んでいます。 異界の怪物や魔人たちは、「刈り取るもの=リーパー」と呼ばれます。 我々、現世の住人からは、このリーパーたちの魔法や超常能力のエネルギー源として使える、良質な魔力が採取できます。 人の感情や欲望から取り出される魔力結晶、名づけてソウルコイン。 異界では通貨としても使われます。 特に絶望や悲嘆から効率よく得られるため、リーパーは、現世の歴史の闇にひそんで、悲劇をもたらし続けてきました。
 異界は複数あり、それぞれが現世の独占を狙って、互いに対立していたので、現世が完全に征服されるのだけはまぬがれてきました。 ソウルコインの独占を争うリーパーたちは、自分たち同士で戦うのは効率が悪いと考え、現世の人類をさらい、肉体と精神を改変し、魔術や超常能力を使う戦闘人形=パペットとして使ってきました。
 パペットは、自分の中から湧き出る感情や欲望を魔力に変換し、すさまじい戦闘力やさまざまなパワーを発揮します。長い長い間、人は、異界の奴隷とされてきました。しかし、数年前、地獄大戦と呼ばれる異界同士の巨大な戦争が起こり、それによって最強だった異界が丸ごと滅ぼされました。 滅びの際、異界の大魔王は呪いをかけ、パペットたちを精神支配から解放します。自分たちを滅ぼした他の異界への反逆を期待して。パペットは、自我を取り戻し、現世に戻ってきました。 数千年を生きた魔術師もいれば、半年間しか戦っていない女子高生の剣士もいますし、現世でなしとげた偉業で目をつけられた有名人もいれば、リーパーとの融合体として超常の肉体を持つ者もいます。 肉体に異界の法則を刻みこまれた彼ら彼女らは、リーパーたちによって財産として所有され、あかしの烙印を押されていました。ゆえに「地獄の炎に炙られた者=ファイヤード」と呼ばれるのです。プライドの高いリーパーたちが「逃げられたのではなく、自分たちがお払い箱にしたのだ」と主張した、退職の意味のfiredだという者もいますが、いささかうがちすぎの意見でしょう。
 ファイヤードが戻ってきたこの世界は、再びリーパーの侵略の脅威にさらされています。 ファイヤードを、パペットの立場から解放した呪いは、異界と現世を結ぶ〈異界門〉の魔術にも制限をかけましたが、リーパーたちは諦めなどしませんでした。 ファイヤードたちは、現世をリーパーから守り〈異界門〉を閉じるため、戦うことを決意します。 二度とふたたび、自由と平和を失わないために。――自分だけの自由と平和を求めている者も少なくはないですが。
 異界と現世では時間の流れ方も違っており、いつさらわれたか、どのくらい異界ですごしたかもばらばらです。 身体能力を強化されて異界の戦闘術を身につけた者もいれば、類のない特殊能力をそなえた者、汎用魔術を教えこまれた者など、さまざまです。技があっても常識がない者もたくさんいます。また、ファイヤードは、魔術の洗脳を解かれた際の衝撃で、異界やさらわれる前の現世でのできごとを忘れている場合があります。 これを「欠けた記憶」と呼びます。 稀に完全に心が壊れて、常軌を逸した行動をとる者もおり、世界の敵ともなります。
 現世でのファイヤードは、みずからの感情や周囲の願いから生じたソウルコインをソウルホルダーに溜めてゆき、それを取り込んでソウルアップ(自己強化)し、敵を倒します。 ふだんは、異界で身につけた技を、臨時派遣のボディガード「ワンコインガード」などで生かして生活の糧を得ています。



 私たちが住むこの世界(現世)に隣接し、我々の知る神話や伝説のもとになった異界。そこには、超常能力や異能、魔法などを使える怪物的な存在が住んでいます。 どれもが、力を信奉し、弱者を服従させることを当然と考える者たちです。そうした異界の住人は、すべて魔力源としてのソウルコインを必要としており、現世からそれらを「刈り取る」しかありません。 そのため、異界の怪物や魔人たちは、「刈り取るもの=リーパー」と呼ばれます。


 七つの異界は、それぞれにソウルコインを獲得するために、活動しています。 最近のトーキョー24で、特に活発なのが「無限流域」の特定派閥、「深淵冥府」「闇の三日月」の三勢力です。

無限流域(インフィニットリバー)
吸血鬼やゾンビなど、死してなお動く怪物たちが、無限の大河のほとりに住まう異界。

深淵冥府(タルタロス)
ギリシャ、北欧などの神話のモデルとなった「神々」が信徒を得るために争う異界。

闇の三日月(ダーククレセント)
近代以降の想像力が生んだ邪神怪物が、混沌の沼から生まれてくる異界。

獄炎砂漠(ジャハンナム)
邪霊が人を堕落にさそう砂漠の異界。

魔精宮廷(クイーンズコート)
人の心をもてあそぶ悪しき女王が統べる、邪妖精たちが跳梁し、魔法少女を戦わせる異界。

翡翠洞府(ジェイドパレス)
仙人や妖怪、侍や忍者など、現世の極東地域の文化を持つ者らが乱世で争い続ける異界。

機電魔界(ワイヤードヘル)
奇怪科学(ウィアードサイエンス)なる、いびつな技術が、肉体と精神を狂わせる異界。

 東京の第24番目の区です。24をどう発音するかは、人それぞれです。もともと、この区は確固たる実在でした。 戦前から存在し続けた由緒ある区ですし、それこそ江戸時代にも、異なる地名として存在したのです。 そしてここは、地獄大戦で消えさった大魔王の一大拠点でもありました。その異界の消滅とともに、七大異界は、この区域を共同で占領しました。 そして、自分たちが比較的楽に、つまり正体を隠すことにさほど気を使わなくていい解放区としたのです。 異界同士が自由に接触できる、中立区域も必要とされていました。それに、この24番めの区は、格好だったのです。
 かくして、24区は念入りな「非認識の祝福」(異界に都合の悪いことは、現世人に感じさせず、気づかせない「呪い」ともいえる大規模魔術)が行われました。 歴史からすら存在を非認識され「そこにあるがそこにはない」区域となったのです。かといって、それまで 24区に住んでいた人間たちが出て行ったわけでもありません。 他の地域との交通がなくなったわけでもありません。 人類が猥雑に生活しているほうが、リーパーたちにとってはソウルコインを刈り取りやすい環境です。 記録もあれば、ライフラインも通じているし、交通機関もあります。単に「必要なとき以外、そこにあることを認識されない」だけです。 なので、都市で大規模な破壊や災害、猟奇的な事件が起きても、広く報道されることもなければ、国家や公的機関の注意を引くこともありません(たとえ引いたところで、政府や大企業、官僚組織は、闇に潜むリーパー勢力のいずれかによって牛耳られていますが)。 リーパーに都合がいい場所は、ファイヤードにとっても住みやすい土地となります。世界を裏から牛耳っている連中が集まるのですから、多くの資金がこの街に流入しますし、異界の技術を取り入れてテクノロジーも最先端です。 しかし同時に、古い時代を生きていた者たちが、懐かしい過去をそのままにしておこうとする街でもあります。
 トーキョー24の見かけは、奇矯なデザインの高層ビルの立ち並ぶ近未来的な都会と、時間に忘れられたような下町、そして異国的センスの街並みがごった煮になった、アンバランスなボーダーレスシティ、というところでしょう。 ボーダーレスでありかつルールレスです。 失われるルールは、法や倫理だけではありません。 ここでは、物理法則すら見失われます。そして、魔界の者たちは、この街で、さまざまな実験をも行います。 現世の他の領域で実行する前に、「こんな条例を施行したら人間はどう反応するか」「魔法を与えたら人間がどう堕落するか」「経済条件をこう変更すれば市場はどうなるか」をあらかじめ調べておけます。怪物が、怪物ですよと言いふらすように歩いていれば、いくらか驚かれます。しかし「これは着ぐるみです」「仮装です」と言い訳すれば受け入れられます。 流れ弾でビルを破壊しても、弁償さえすれば(たいていは保険に入っています)大きな問題にはなりません。

 ファイヤードが、異界から現世を守るために、対策を講じるべき対象が〈異界門〉――異界と現世をつなぐ次元間通路です。 その創造法は、数万年以前の太古に、とある魔術師が発見し、異界間に広められました。個々の異界ごとにアレンジはされていますが、基本的には同じ技法が用いられています。

 東京の街に、ひび割れのように広がる、非認識の祝福に満ちた「裏路地」。 それがバックアレイです。それと知らずに踏みこんだ一般人が、リーパーの餌食になったとしても、単なる通り魔事件や交通事故、理由なき失踪や拉致で片付けられてしまいます。 そんな事件を防ぐため、トーキョー24を出て、ボランティアのパトロールを行っているファイヤードもいます。
 バックアレイの中心は、大規模異界門です。 東京には4つ存在しています。 非認識の祝福で隠蔽されているひとつをのぞくと、残る3つの周辺には、トーキョー24よりは遥かに小さいものの、それなりの規模の異界共存地域が形成されています。
 多くの住人は昼間だけ、あるいは夜だけバックアレイで働いている一般人です。そこにいる間は、異形と魔法を常識としてとらえ、退勤時間になって離れたとたんに、記憶が書き換えられます。そこで友人となれば、バックアレイの外で出会ってもやはり友人でしょう。 しかし「魔法用品店の店員と魔法陣用具を買いに来た魔術師」ではなく「ホームセンターの店員と常連客」と認識されます。

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